2012年02月16日

雛のつるし飾りについて

伊豆稲取に伝わる古いつるし飾り



雛のつるし飾りは、静岡県賀茂郡の小さな港町、稲取に伝わる風習です。テニスボール大の布製の人形を一本の糸にいくつも吊るしたつるし飾りは、子供の健康や良縁を祈願して作り、桃の節句に飾られます。そして成人や結婚などの人生の節目に、どんと焼きという年中行事で火にくべ燃やされ、その役目を終えます。子供が生まれた際に贈られた正絹の産着や、古い着物を用いて作るため、その素材の性質からも、つるし飾りのほとんどは物として後世には残りません。しかし作り方は親から子へと各家庭で伝承していくので、技法や様式は現在も変わらず存在しています。

古い雛のつるし飾り

這って歩く子をモデルにした這い子人形や、座布団や草履といった日用品、東伊豆の特産物である金目や野菜など、いろいろなモチーフが存在しますが、「足が丈夫に育つ様に」「風邪をひかないように」など、それぞれに子供の幸せを願う謂れがあります。厳格な仕来りがあるわけではないので、各家庭ごとに特色があり、その時代の流行や制作者のアイディアが気軽に反映されるため、その意匠は多種多様な広がりを見せます。



古い雛のつるし飾り

日本の伝統や芸術といえば、宮中から武家社会へ広がりを見せた茶道や生け花、能や禅寺など厳格なイメージが先行しがちですが、雛のつるし飾りのような庶民の風習に着目をすると、暮らしの中の日本人の観察眼、手先の器用さ丁寧さ、そして応用力やおおらかさを伺う事ができます。また、はじめから保存を目的としない物に手間を尽くすという精神には、日本独自の美のかたちがやどると言えるかもしれません。
posted by もも屋 at 16:11| Comment(0) | 雛のつるし飾り | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
カテゴリ
<< 2012年03月 >>
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31